sora@making

その川にはまだ春が来ていませんでした。

水温を計ると4度。気温は0度。
春の暖かい渓を想像していたけれど、
そこはまだまだ寒かった。
吐く息は白く、落ち葉も霜で白くなっていた。



papachanさんに、行き先は任せますと言われたけれど、
ピンとくるところが無かったので、以前連れて行ってもらった場所を
逆リクエスト。



気温が上がると、山の上の雪が融けて川の水温は下がるのではないか。
寒くて、岩魚は頭を岩の隙間に突っ込んでミノーが来たのに気がついてないのではないか。
と、papachanさん。
モンブランも制覇した経験値からくる言葉は、滑らかに頭に入ってくる。
そして、きっとその通りなのだろうと思う。



ゴールデンウィーク3日目の渓は、厳しい顔のままだった。
植物は、毒の強いものばかり目に入ってきた。
特にこのハシリドコロは、無数に咲いていた。
他にはトリカブトの若い芽もたくさん生えていた。



寒く静かな渓、大の男が小さな魚を釣るために真剣になる。
そんなに集中できる遊びがあるなんて。
しかし、魚は私には顔を見せてくれなかった。
はたして、魚を釣りに来たのだろうか？

何を求めて釣りに行くのか。
最初は魚を釣りたくて行っているのだけど、
いつしか、他の楽しみも増えていく。



この道が出来る前は、この集落の人たちはどうしていたかなんて、
釣りに来なければ考えることも無い話を、想像力で語っていく。

楽しい。



自然が相手なので、人それぞれの楽しみ方がある。
今日また、papachanさんから新しい楽しみ方を教わった気がする。

最後、往生際の悪い私にもゆったりと付き合っていただき、
ありがとうございました。